フッ素(F)は私たちの身近な自然界にある元素のひとつで、お茶や魚介類など多くの食品に含まれています。フッ素はむし歯予防に欠かせないだけでなく、丈夫な歯や骨をつくるために大切な役割を果たしています。
フッ素を利用することでむし歯の発生を防ぐことができます。
むし歯予防の3つの作用
・再石灰化の促進
歯から溶け出したカルシウムやリンの再沈着を促進します。
・歯質強化
歯の質を強くして、酸に溶けにくい歯にします。
・細菌の酸産生抑制
歯ブラシで落としきれなかったプラーク(歯垢)中に潜んでいるむし歯原因菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑えます。
フッ素の利用方法
フッ素の利用方法には3つあります。特に、最も身近で手軽なフッ素配合歯みがき剤は毎日使用し、その他の方法と組み合わせるとよいでしょう。
1.フッ素配合歯みがき剤
歯みがきのたびに使用すると、みがいている間の効果に加え、歯みがきをした後で、口の中の歯や粘膜に残ったフッ素が少しずつ唾液にまざり効果を発揮し続けます。
むし歯予防の効果を高めるには、長い時間フッ素が口の中にとどまっていることが大切です。歯みがき剤の使用量やみがき終わった後のうがいの方法にも気をつけましょう。
1.使用方法
- 1.歯みがき剤の量は成人の場合1~2cm(約1g)程度にする
- 2.歯みがき後のうがいは1回程度にする(5~15mlの水で5秒程度行う)
フッ素配合歯みがき剤の年齢別使用方法目安
6ヶ月(歯の萌出)
~2歳
切った爪程度の少量
500~1,000ppm
仕上げみがき時に保護者が行う。
3~5歳
5mm以下
500~1,000ppm
就寝前が効果的。
歯みがき後5~10mlの水で1回程度洗口。
6~14歳
1cm程度
1,000ppm
就寝前が効果的。
歯みがき後10~15mlの水で1回程度洗口。
15歳以上~成人
1~2cm程度
(約1g)
1,000~1,500ppm
同上
- ※フッ素濃度1,000~1,500ppmの歯みがき剤は6歳未満の子どもには使用を控えましょう。
2.使用手順
-
1回みがきでフッ素を口の中に残す
- 2回みがく方法(ダブルブラッシング法) ※最初にしっかりとうがいしたい方に適した方法
1回目は歯みがき剤をつけてもつけなくてもよいので、十分にみがいて十分にうがいをする
2回目はフッ素配合歯みがき剤をつけて、全部の歯に延ばすようにつけて、1回吐き出し、1回だけうがいをする。
2.フッ素洗口
4歳以上からフッ素洗口液でブクブクうがいをする方法です。
1日1回または1週間に1回の利用法があります。
家庭や幼稚園・保育園では1日1回、小・中学校では1週間に1回がすすめられています。
継続して使用することで予防効果が高まります。
歯科医院から入手できます。
3.フッ素塗布
歯科医院などでフッ素を歯に直接塗る方法です。年に数回塗布します。
生えたての歯は歯の質が弱い(未完成)ので、特に効果的です。
1歳半頃から行うことができます。
4.当医院でのフッ素使用症例
緑の○の歯の状態ではフッ素を使い、 きっちりとした歯磨きをすることで、削らないで回復する事があります。
黄色の○の歯のように、 エナメル質に細菌が完全に入り込むと削らなければ元に戻るのは難しいと思われます。
歯の「つるっ!」とした部分は普通虫歯にはなりにくいところです。
しかし、乳幼児が常にほ乳瓶をくわえて寝てしまったり、永久歯でも、歯の面にべたべたした食べ滓を着けたままで生活すると、 この写真のように虫歯になります。
緑の円の歯の状態ではフッ素を使い、きっちりとした歯磨きをすることで、削らないで回復する事があります。
黄色の円の歯のように、エナメル質に細菌が完全に入り込み、う窩になると削らなければ元に戻るのは難しいと思われます。
この場合歯を削って細菌を追い出したあと材料を詰めて修復しなければなりません。
5.フッ素応用のポイント・注意事項
- 毎日の歯みがき時にはフッ素配合歯みがき剤を使用し、口の中に少量のフッ素が残るように歯みがき剤の使用量、うがいの仕方に注意しましょう。
- 年齢に合わせて実施する方法や使用する商品を、かかりつけの歯科医院に来院してご相談ください。