歯とお口の健康講座2
別のサイトで依頼を受け投稿した記事を何回かに分けて、載せていこうと思います。
ご興味のある方はお読みください。
今回は2回目です。
1.歯磨きは何のためにするの?
「もちろん 歯を守るためです!」
左の写真は、当歯科医院のある患者さんの初診時の上顎内側です。
口の中が全体的に汚れ、黄○印の部分は、特に歯と歯茎の間に歯垢(プラーク)がたまっています。
赤○印の部分は、歯茎に炎症(赤い腫れ)があります。
青○印の部分は、歯磨き残しがあり、う蝕(虫歯)が始まっています。
左の写真は、同じ患者さんの4ヶ月後の写真です。フッ素を使用した歯茎で、歯垢(プラーク)も上手に取れています。
歯茎の炎症(赤い腫れ)も無くなりました。
とても気持ちの良い歯茎となり、う蝕(虫歯)になりかけていた部分も再石灰化がおこりかけています。
2.歯を守るには
左の写真は、毎日、歯磨きをしている人の歯磨き結果です。毎日、歯ブラシで歯を磨いても、‘我流’では、このように磨き残しが多く見られます。歯の面に赤く染まって見えるのが、歯垢(プラーク)と言われる磨けてない細菌のかたまりです。
歯磨きの目的は、下記の通りです。
①食べカスを残さない。
②細菌のかたまりを取り除く。
③歯茎のマッサージをする。
3.虫歯の原因(ストレプトコッカスミュータンス)
左の写真は、ストレプトコッカスミュータンスと言う細菌です。う蝕(虫歯)を起こす原因の1つと言われています。
写真は、顕微鏡で約800倍に拡大しています。
寒天に栄養素を混ぜて、ストレプトコッカスミュータンスを培養したものです。気泡のようなコロニー(集落)が肉眼で確認できます。
この気泡がデキストランと言われるベタベタの糖で、この糖のために他の細菌を菌の表面に集めてきます。
4.お口の中の細菌
口の中の細菌を位相差顕微鏡で見たものです。口の中には、500種類以上と言われる種類の微生物がいます。
赤い○印は、球菌や小桿菌と言われる細菌の集まりで、動きません。
赤い→印の先の小さな点(細菌)は、鞭毛をもち、固有の運動をします。細菌の大きさは、1μ(ミクロン)ほどです。写真は、約1,000倍の大きさです。
5.虫歯や歯周病を防ぐ方法は?
口の中にいる細菌(常在細菌と言います)が、う蝕(虫歯)や歯周病を引き起こします。
歯磨きは、このような細菌を取り除き、歯茎をマッサージして健康にする目的で行います。
そのために、歯と歯の間、歯と歯茎の‘きわ’のところをしっかり磨く必要があります。
6.歯磨きテスト
1日の中で、1番歯垢(細菌)の多いときは、いつですか?
1) 食後
2) 食前
3) 寝る前
4) 起床時
さて、いつでしょうか?
7.答え
細菌の多い順は、
1)起床時 就寝中は、唾液が少なく、口を動かさないため細菌が増殖します。
2)食前 食後から少しずつ細菌が増え始め、食事の前は細菌が多くなります。
3)寝る前 食前と同じように細菌は、増えます。
4)食後 食事をすると、食べたものや自分の筋肉「舌や頬粘膜(ほほ)」で、‘こする’ため、細菌の数は少ないです。
8.歯ブラシはいつしますか?
もうお分かり頂けたと思います。
1)歯磨きは、寝る前にすることが最も大切です。
2)起床時は、就寝中に増えた細菌を取ってしまいます。
3)食前に歯磨きをしましょう。食べる前に手を洗うのと同じことです。
4)食後は、歯磨きができればよいし、できなければ、
フッ素先行などでよく‘ゆすいで’、食べカス を取り除いてください。