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2013年07月 アーカイブ

2013年07月03日

第4回講座 う蝕(虫歯)1

別のサイトで依頼を受け投稿した記事を何回かに分けて、載せています。

ご興味のある方はお読みください。

1.う蝕虫歯)とは?

う蝕虫歯)というのは、水晶の硬さと同じくらい、硬い歯が細菌に感染して、歯がボロボロになることを言います。
下記のう蝕虫歯)の図で、黒く塗った部分にう蝕虫歯)ができています。青色で四角に囲んだ部分の拡大図が下記の右のう窩虫歯の穴)の写真です。
この写真は、ネズミにS.mutans(ミュータンス菌)と砂糖を食べさせて、う蝕虫歯)を作らせ、できたう窩虫歯)の部分を顕微鏡で見たものです。「黒くなった」まだその先、神経のすぐ近くまで、細菌は深く浸透しています。
1)歯の咬む面(咬合面)の中に、細い溝があります。その中に細菌をためるとそこからう蝕虫歯)が始まります。
2)エナメル質を通った細菌は、象牙質へ入り、象牙細管を通って神経の穴に入っていきます。
う蝕(虫歯)


2.なぜ、う蝕虫歯)になるの?どうしたらふせげるの?

う蝕虫歯)はバイオフィルムによる感染症です。Mutans(ミュータンス菌)菌群(St.mutans, St.sobrinusなど)が歯に感染することにより引き起こされます。細菌に対する歯の抵抗力の低下が誘因となります。予防は寄生体である悪玉の細菌の数を減らすことと、宿主である自分の歯や身体の抵抗力を向上させることが大切です。

しかし、このバイオフィルムにたいする、自分自身のもつ免疫応答(生体防御機構)だけでは、予防や治癒は困難です。歯そのものの酸や細菌に対する抵抗力をつけることも重要です。

また、食生活の中で、繊維質の多い野菜などで、食べながら、歯の表面をこするような自浄作用を期待するのも必要なことです。

なぜ、虫歯になるの?
1.食生活の乱れ

1)自浄作用のある野菜や固いものを食べない。

2)甘いものや、粘りのある物が好き。

3)食べる時間が不規則

2.唾液の性状

1)酸の中和力が弱い

2)ねばねばした唾液

3)唾液の量が少ない

3.う蝕原生細菌が多い
4.歯磨きが不適切
5.歯質強化をしていない


どうしたら防げるの?
1.食生活の改善

1)まんべんなく食材を取る(自浄作用のある野菜や固いもの)

2)甘いものや、粘りのある物はできるだけさける。

3)生活リズムをよくする。

2.固いものをよく咬み、唾液腺を刺激。水分を十分に補給。全身の体調を整え自律神経を正常に。
3.善玉細菌を増やす努力
4.適切な歯ブラシ方法をプロに教わる。
5.フッ素などをうまく使い、歯質強化をする。


3.歯の構造
歯の構造

1)エナメル質:カルシュームが主で、水晶と同じくらいの堅さがあります。

2)象牙質:堅いのですが、エナメル質より柔らかく、う蝕虫歯)にもなりやすい。

3)歯髄(しずい):神経と血管が入る組織です。

4)歯肉(歯ぐき) :歯槽骨を保護している粘膜です。

5)歯根膜(シコンマク):歯と骨を繋いでいる繊維状の組織で、硬い骨と歯がぶつかって壊れるのを防ぐ緩衝作用もしています。
6)セメント質:歯の根っこの周りを覆っている骨状の組織です。
7)歯槽骨(シソウコツ) :歯を支えている骨。


4.う蝕虫歯)の処置①
syoti③

実際のう蝕虫歯)の様子を見ます。
上顎第二大臼歯に2つのう蝕虫歯)があります。ほぼ中央(赤色の円)の黒い部分が中央小窩といい、この部分はう蝕虫歯)が発生しやすい場所です。このう蝕虫歯)はダイアグノデント(レーザで、う蝕虫歯)の感染の度合いを調べる器械)で調べると細菌が深く感染しているのが分かりました。

一方、左の黒い部分(黄色の円)は、遠心小窩う蝕の発生しやすい場所です)。そこから下へ向けて遠心舌面溝と言い、この部分をダイアグノデントで検査するとエナメル質の表面だけの感染であることが分かりました。


5.う蝕虫歯)の処置②
う蝕(虫歯)の処置方法②

肉眼では細菌に感染した部分は削除できたと思ったところにも、薄くピンク色に細菌が染まるところが確認できました(緑色の円の中)。その部分を、細菌に感染した部分だけを削れる(健康な部分は削れない)材料でできた切削バー(削るドリルの一種)や歯を削れるレーザ、あるいはマイクロメーター(ミクロン)単位の細かい粒子を高圧で吹き付けて削るようにします。これらの方法はいずれも痛くなく悪くなった部分を削除することができます。最近はこのように痛くなく、感染した部分だけを切削できる道具が開発されてきているので、無痛の状態で、細菌に感染した部分を最小限取り除く治療法が確立されました。これをMinimal Intervention(最小の侵襲)治療と言い、歯を必要以上に削らない治療方法に変わりつつあります。


6.う蝕虫歯)の処置③

う蝕(虫歯)の治療方法③

治療として、中央小窩は切削器具を使い細菌に感染した部分を削除しました。切削した場所は穴が開いて見えます。

kenntieki

う蝕虫歯)検知液とは、歯の中に感染した細菌を染める液です。

肉眼で見えなかった細菌もこれで染めて、その部分だけを削るようにします。


7.う蝕虫歯)の処置④
う蝕(虫歯)の治療方法④

う蝕虫歯)検知液でピンク色に染まった部分も取り除かれ、細菌に感染した部分がなくなりました。現在ではこの部分に、口腔内でレジンに光を当てて固まる材料を用いて修復するようになってきました。


8.う蝕虫歯)の処置⑤

う蝕(虫歯)の処置⑤

赤色の円で囲った部分が先ほど切削したう窩に相当する部分です。先ほどの穴が嘘のようにきれいに修復でき、まるで最初からう蝕虫歯)などなかったように修復できました。現在では、早く治療すればこのように、痛くなく、1日で、きれいに修復することが可能になりました。また、黄色の円で示した、遠心小窩と遠心舌面溝は削らないで、フッ化ジアミン銀という薬と、治療用の半導体レーザを使って細菌の活動を不活化することでエナメル質を保存することができました。

9.う蝕虫歯)の処置⑥
う蝕(虫歯)の処置⑥

【治療前】

治療前と治療後ではこのように違います。
また、う蝕虫歯)になったことに気がつかないで、‘しみたり’、‘痛くなった’りしてから治療に行くと、大きな侵襲になり、もっと大きく削ったり、神経の穴まで細菌が行っているために、大きな治療になり、隣(右)に見られるように金属でかぶせなければならないようになります。

【治療後】
早く治療すると、このようにきれいに修復できます。

2013年07月17日

第5回講座 う蝕(虫歯)2

別のサイトで依頼を受け投稿した記事を何回かに分けて、載せています。

ご興味のある方はお読みください。

 

1.う蝕虫歯)のできやすい場所

1)小窩裂溝う蝕虫歯
う蝕虫歯)は、できやすい場所があります。できやすい場所を写真で見てみましょう。
う蝕(虫歯)のできやすい場所

臼歯部の咬合面(咬む面)は、小さな溝(黄色の円)や、くぼみ(緑色の円)が見えます。
また、前歯部の内側(口蓋側とか舌側と言います)にも見られます(赤い色の円)。これらを小窩裂溝(しょうかれっこう)と言います。
そこには食べ物や細菌がたまりやすく、特に子供の歯は小窩裂溝が深く、ここからう蝕虫歯)になることが多いです。

また、外から見てそんなに深くないと思われるう蝕虫歯)でも、表面を削ってみると、意外に深く浸食されている場合もありますので、自分で判断しないで、専門家に診察してもらってください。
既にお話ししたように、色々なう蝕虫歯)検出方法が開発されて、早く見つければ必要以上に歯を削らないで済みます。


2)平滑面う蝕虫歯
歯の「つるっ!」とした部分は、通常、う蝕虫歯)には、なりにくいところです。
しかし、乳幼児が常に、ほ乳瓶をくわえて寝てしまったり、永久歯でも、歯の面に‘べたべた’した食べ滓を着けたままで生活すると、下記の写真のようにう蝕虫歯)になります。
う蝕(虫歯)のできやすい場所

緑の円の歯は、フッ素を使い、きっちりとした歯磨きをすることで、削らないで回復することがあります。
黄色の円の歯は、エナメル質に細菌が完全に入り込み、う窩になると削らなければ元に戻るのは難しいと思われます。
この場合は、歯を削って細菌を追い出したあと材料を詰めて修復します。


   3)接触面う蝕虫歯
う蝕(虫歯)のできやすい場所

歯と歯の接触するところは(緑色の円)食べ物がたまりやすく、また、磨きにくいところです。そのために、この部分からう蝕虫歯)の発生することが多く見られます。この部分を、歯間ブラシや糸楊枝できれいにしておくことが大切です。
これは前歯部ですが、小臼歯大臼歯も同じです。


2.う蝕虫歯)の進行
1)歯の表面にできたう蝕虫歯)は、う窩虫歯の穴)になります。このころに‘しみ’始めます。
2)神経の穴の中に細菌が侵入し、神経や血管を殺します。そのときにとても痛い思いをします。
3)さらに神経の穴の中を深く細菌が侵入し、歯の根っこの先から外に出ます。
4)そこに(うみ)の袋を作ります。下記、右写真の青色で囲んでいる部分は、根の先から歯の外に出た細菌によって作られた(うみ)の出口です。
う蝕(虫歯)の進行


3.根っこの治療(根管治療
(うみ)の袋から歯ぐきの外に出た細菌も、神経の穴を完全に治療すると(うみ)の袋がなくなる場合があります。下記の右の写真は、治療途中の歯で、細い‘やすり’のような道具を使って、感染した歯髄腔を治療しているところのレントゲン写真です。
歯の根っこの治療(根管治療)

4.根っこに薬を詰める(根管充填

下記のレントゲン写真は、根管に長くもつ薬をきっちりと入れて、填塞したものです。このようにきっちりと治療をすると、下記の右の写真のように、ほぼ1週間で、(うみ)の出口はふさがれます。完全に治療できると、1週間位でこのようにきれいに(うみ)の袋がなくなる場合があります。
歯の根っこに薬を詰める(根管充填)

5.う蝕虫歯)の治療方法

1)C0
う蝕(虫歯)
エナメル質に軽度のう蝕虫歯)があり、放置すると進行します。この場合、自分でフッ素を使い歯磨きすることと、歯科衛生士からプロフェッショナルケアーを受けて、予防しながら観察し、う蝕虫歯)進行しないようにします。


2)C1
う蝕(虫歯)

表面のエナメル質が溶けはじめた浅いう蝕虫歯)で、ほとんど痛みはありません。この段階での治療はう蝕虫歯)の部分を削除して修復材をつめるという比較的簡単な治療ですみます。


3)C2
う蝕(虫歯)

エナメル質の深いところや、象牙質にまでう蝕虫歯)細菌が侵入すると、残念ながら歯科医師が切削器具を使って削らなければなりません。


4)C3
c3

歯髄腔(歯の中の神経や血管の入っている穴)の中まで細菌が入ると、神経の治療をしなければなりません。


5)C4
う蝕(虫歯)

根っこだけになると、抜かなければならない可能性が大きくなります。早く治療して、根っこが健全であれば、その根を土台にして歯を作ることができます。


6.まとめ

1)う蝕虫歯)は、口腔内に常にいる細菌(常在細菌)により、歯の硬組織が感染症になる病気です。
2)正しいケアーを行うことにより、う蝕虫歯)になりにくくなります。
3)早く見つけると、痛くなく治療できます。
4)手遅れは、痛い思いをしたあとで、もう一度痛い治療をしなければなりません。
5)生活習慣、食習慣でも予防することができます。その意味では生活習慣病です。



第6回講座 歯周病(歯槽膿漏)Ⅰ

 

 

別のサイトで依頼を受け投稿した記事を何回かに分けて、載せています。

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1.歯周病歯槽膿漏)セルフチェック

歯周病歯槽膿漏)の危険度をチェックしよう!!

  歯ぐきの状態 点数
1 歯ぐきの色がサーモンピンクのきれいな色である。
2 歯ぐきが赤く(あるいは紫色に)腫れている。
3 歯ぐきが‘むずがゆく’、歯が浮く感じがする。
4 リンゴをかじると、血が出てくる。
5 口臭がある。 10
6 朝起きたとき、口の中がネバネバしていて、気持ちが悪い。 10
7 虫歯がないのに、水を飲むと‘しみて’、気持ちが悪い。 10
8 最近、歯が長くなったように見える。歯と歯の間に隙間ができた。 10
9 歯ぐきが腫れて、プヨプヨする。 10
10 歯ぐきから自然に血が出ている。 10
11 歯が動いて、ものが噛めない。 10
  合計  

貴方の歯周病歯槽膿漏)の危険度は、何点でしたか?

1)0点
あなたの歯肉(歯ぐき)は、現在健康です。今後とも検診を受けて健康維持に努力してください。
2)5点~25点
歯肉(歯ぐき)の状態は感心しません。早く歯科医院でチェックを受けてください。
3)26点~49点
歯肉炎あるいは歯周炎の疑いがあります。至急歯科医院でご自分の口腔状態を確認してもらい、 早期に治療を受けてください。
4)50点以上
歯周病歯槽膿漏)が相当進行しています。至急歯科医院で治療を受けてください。放置すると歯を残すことが困難になる可能性があります。

 

2.歯周病歯槽膿漏)とは
sisyuubyou
左の写真は、10数年前に歯の治療が終わったと思い、その後チェックを受けることなく、別に異常も感じないでいた患者さんです。和歌山県では40歳、50歳、60歳、70歳の節目に県庁や、各郡市から検診の案内が送付されます。その案内を持ってこられた患者さんです。ご自身では全く気がつかないうちに、歯を支えている骨がなくなって、歯肉(歯ぐき)に炎症がおこりました。もう少しで歯を失うところでした。

3.健康な歯肉(歯ぐき)と病気の歯肉(歯ぐき)
sisyuubyou
自分では気がつかないうちに、歯周炎にかかっていた状態です。



sisyuuenn

短期間に、歯科衛生士の歯ブラシ指導とプロフェッショナルケアで改善された歯肉(歯ぐき)の状態です。


4.骨吸収像(レントゲン
renntogenn1

上記と同じ人のレントゲン像です。歯を支えている歯の骨に吸収が見られます。
また、赤い矢印で示したところの根の表面に、深いところまで歯石が見られます。(バラの刺のように、がたがたしているのが歯石です)。


renntogenn2

このレントゲン像は歯科衛生士が根の表面をきれいに掃除して、先ほどの歯石が見られなくなりました。上記のレントゲンの黄色矢印で示したところの骨に皮質骨という白い骨が見られないのですが、掃除をしたあとの左のレントゲンでは、緑の矢印で示したように、レントゲン像で白い線が見えます。この白い線が皮質骨という固い骨です。健康になってきている証拠です。



renntogenn3
歯科衛生士の指導後、半年が経過したレントゲンです。皮質骨がさらにしっかりとしてきているのが、わかります。これが、歯科衛生士さんのプロフェッショナルケアの効果です。



5.歯周病歯槽膿漏)の進行
kennkounaha

健康な歯肉(歯ぐき)の状態です。


sinikuenn

歯肉炎:歯を取り巻く歯肉(歯ぐき)だけが炎症になっている。歯肉(歯ぐき)に少し炎症があり、このまま放置すると、どんどん深部へ病状が進行するような状態です。


sisiyuubyounoha

歯周炎:歯を支える骨が破壊された状態で、歯肉(歯ぐき)の炎症がどんどん奥へ入り歯を支えている骨までやられている状態を示しています。このような状態になっても本人は気づいていないことが多く、「自分は歯に関しては自信がある」と言って、歯科に何十年も通っていない人によく見られます。不思議なことに、歯周病歯槽膿漏)にかかっている人の歯は、う蝕虫歯)にかかっていないことが多いのです。


6.立体的に骨の吸収を見る
sefaro

40歳代の人のあごのCT像です。歯周病歯槽膿漏)で歯を支える骨まで破壊されています。
根っこがほとんど見えて、骨が支えていないのがよくわかります。こんな状態になる前に、早く手入れをすれば歯が抜けないで、長く自分の歯で咬めます。


7.どうして骨まで破壊されるの?
私たちの口の中には、500種類以上と言われる微生物(ウィルス、細菌、真菌(カビ)、原虫など)が住んでいます。この中には人間にとって、善玉もいれば悪玉もいます。悪玉が簡単に体の中に入らないのは、体の防衛力(免疫力、唾液による洗い流し、重層扁平上皮という保護機構など)が働いて、これら外来の敵と戦ってくれています。
しかし、歯の周りをいつも汚くしていると、防衛力が追いつかず、それに対応するためにいろいろな変化が起こります。歯肉(歯ぐき)が赤くなっているのは、外来の敵と私たち自身の細胞などが戦っている結果です。外来の敵が多くなると、さらに深く、特に骨の中に敵が入ると大変なことになるので、私たち自身の「破骨細胞」という細胞で自分の骨を壊し、敵が骨の中に入らないようにします。これが歯周病歯槽膿漏)で、細菌などによって骨が溶かされるのではありません。
歯周病歯槽膿漏)が悪化してくると、歯周病菌(歯周病の原因菌)と言われるような微生物が増えてきます。これら微生物の細胞の細胞壁にエンドトキシンという毒素があります。それに私たち自身の防衛力である細胞のマクロファージとかリンパ球が反応して、その細胞が活性化することによって、プロスタグランディンとか破骨細胞活性化因子というような化学物質が産生されます。そのような物質に反応して、破骨細胞が働き始めます。そうすると、歯を支えている歯槽骨の吸収がどんどん進んでいく、これが歯周病歯槽膿漏)です。
honehakai

このように、口の中の病気は、外来の寄生体(細菌など)と宿主(自分の体)のせめぎあいです。自分の全身状態も良くし、悪玉が寄り付く隙を作らないようにすることが大切です。しかし、いろいろな全身の病気があり、そのために口の中の病気が悪化することがあります。体の状態をできるだけ早く、できるだけ良い方向へ向けるように努力しましょう。

2013年07月24日

第7回講座 歯周病(歯槽膿漏)2

別のサイトで依頼を受け投稿した記事を何回かに分けて、載せています。

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1.歯周病歯槽膿漏)になりやすい人

下記のような人がかかりやすく、治りにくい人です。

1)お口の手入れをきっちりしない。

2)お砂糖で、できたものや、やわらかく歯につきやすいものが好き。

3)野菜や繊維性のもので、食べながら自浄作用のある食物をあまり食べない。
4)歯並びが悪い。
5)糖尿病がある。
6)不摂生な生活をする。
7)ストレスの多い生活をしている。
8)タバコをすっている。
9)歯の噛み合わせが悪い。
10)女性の思春期、妊娠中、更年期など。


2.歯垢(DentalPlaque)と歯周病歯槽膿漏
sikou

 

歯と歯ぐきの間にたまった、白いこけ上のもの(緑の矢印)。これがプラーク(DentalPlaque,歯垢などと言われます)です。




細菌を染める色素で染めると左の写真のように赤く染まり、細菌のかたまりであることが分かります。
これをためておくと、この部分から歯肉炎が始まり、何年もかけて、歯槽骨(歯を支えている骨)をダメにしていきます。これが歯周病歯槽膿漏)です。


3.歯垢(DentalPlaque)内の細菌
sikoukinn

10日ほど歯ブラシをしていない口腔から採取した、歯垢をグラム染色(細菌を染める方法の一つ)して光学顕微鏡で見た像です。

グラム陽性菌や陰性菌。球菌、短桿菌、大型の桿菌やコーンコブという変わった形のものも見られます。

このように口の中では、約500種類以上とも言われる微生物が生息しています。

その中で、悪玉菌も多く見られます。できるだけ細菌数を減らすことが大切と考えます。


4.歯周病歯槽膿漏)を予防するには


1)生活習慣を規則正しく、食生活も栄養のバランスや、繊維質の多い食物に変え、食事時間もできるだけ規則正しいものにする。
2)自分で歯ブラシをきっちりすることと、同時に歯科医院で、歯科医師や歯科衛生士のプロフェッショナルケアーを定期的に受ける。
3)歯並びは、できるだけきれいにそろえる。
4)糖尿病などの成人病は、早く受診して症状をなくしたり、医師の管理下で健康な生活をする。
5)不摂生な生活をしない。
6)ストレスのある生活の場合、できるだけ余裕のある時間帯を作り、体をほぐす。
7)女性の場合、思春期や妊娠中及び更年期は、きっちりと歯科医院でケアーを受ける。


5.歯周病歯槽膿漏)は治る病気です。

1)自分では悪くないと思う人も、定期的に検診を受けて、健康な状態を保つようにすることが大切です。

また、もし悪くなった場合でも、早く見つけ治せば重篤な症状にならずに済みます。


2)100歳のお年寄りに「楽しみは何ですか?」という質問をすると、51%の人が「食べることです」と答えてダントツの1位です。

歯を大切にすることは、年をとってからの生活がとても快適になります。
3)ぜひ、歯を大切にし、ご自分の人生を大切にしてください。

2013年07月31日

第8回講座 口臭Ⅰ

別のサイトで依頼を受け投稿した記事を何回かに分けて、載せています。

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1.はじめに
hajimeni


口臭でお悩みの方は、この写真がとてもうらやましいのではないでしょうか?

ぜひ最後までご覧頂くことで、あなたもこんな人間関係が作れるようになります。

なお、今回の「口臭」については、「本田式口臭治療」をなさっている本田俊一先生のお考えを基に構成させていただきました。

写真:IVOCLAR・HAKUSUI両社のご厚意による


2.口臭とは
kousyuu

1)他臭症
自分では気がついていないが、周りから「口がくさいのと違う?」と言われる人。

2)自臭症
まわりの人は「ぜんぜん臭わないわ!」と言ってくれるが、かつて(中学生や高校生時代)「あなた口くさい!」と言われて、それ以来ずっと、自分の口臭に悩んでいる人。


3.自臭症とは


ご自分で悩んでいる方がほとんどです。歯科治療を続けている人で、待合室に「口臭治療」のポスターを貼った直後に、こっそりと「実は私も長年悩んでいます」と打ち明けてくれた患者さんに驚いたことがあります。

このように長年、他人に打ち明けられず、一人悩んでいる方が結構多いのです。

大きな病院へ行って、口臭値の測定をしてもらっても「数値は低いからあなたは正常です」と治療をしてもらえず、次々といろいろな診療科を受診している人がいます。

これが自臭症の特徴です。


4.他臭症とは


ご自分では「健康で、何の問題も感じていない」。

しかし、家庭で奥様から「あなた口くさいわよ!」とか、娘さんから「お父さん臭いから、いや!」と言われて、やっと歯医者さんを訪れる人がいます。あるいは奥様に袖を引っ張られて、来院する方もいらっしゃいます。このように、自分では何の問題も感じていない、ことが大問題になります。


5.臭いの元 Ⅰ
1)臭いの元は、ほとんど口の中に入った食べ物が、口の中にいる微生物(細菌や原虫など)により分解された産物の、いわゆる「細菌のウンコ」の臭いです。


2)たまに、「息がくさい」と言われて「胃が悪いのかな?」と思う人がいますが、これは、便秘などにより腸内にたまったガスが、血液に吸収され、肺に入り、それが息をするときに口から出てくるものがほとんどです。運動をするなど便秘を解消すると、このような臭いはなくなることがあります。


6.臭いの元 Ⅱ


臭いの物質には次のようなものがあります。


1)アンモニアやインドールなど:これはタンパク質が嫌気性菌により分解されたものです。

2)メチルメルカプタンや硫化水素など:これはシステインやメチオニンという硫黄を含んだアミノ酸(含硫アミノ酸という生き物の体を構成している重要な成分)が分解されて生じる揮発性硫黄化合物(硫 化物)。
3)低級脂肪酸(酢酸、酪酸など)やアルコール、アセトンなど:グルコース(糖)やグルタミン酸(アミノ酸の一種)などが嫌気的(酸素を使わない)に分解(発酵)されて生じる。


7.臭いの元 Ⅲ


臭いの元はどうして口の中でできるの?
口の中の常在微生物は500種類以上いると言われています。この中で、歯磨きが十分できているお口では、主に酸産生菌というどちらかというと善玉細菌が主流で、臭気物質の産生能は少ないとされています。
一方、歯磨きが十分でない汚いお口の中は、偏性嫌気性、グラム陰性桿菌やスピロヘータという悪玉菌が多くなります。これらは私たちが食べたタンパク質を嫌気的に分解する酵素を作り、アンモニアやアミンを産生し、含硫アミノ酸からメチルメルカプタンや硫化水素を作り、グルコースやグルタミン酸を嫌気的に分解して、酢酸、酪酸などの臭い物質を作ります。だから、歯磨きを十分していない人のお口は臭いのです。

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