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禁煙教育

過去にもご紹介させていただいている和歌山県立工業高校の禁煙教育にについてご紹介させていただきます。

2002年4月から和歌山県内の全公立学校は、敷地内全面禁煙となりました。しかしその頃、生徒数1200名を超えていた和歌山工業では、生徒数もさることながら建物や施設の多さも手伝って、隠れてタバコを吸う生徒が少なくありませんでした。ときには特定のトイレで見張りをたてた喫煙が横行し、あまりの煙たさと威圧的な雰囲気に、普通の生徒たちがトイレを利用できないような事象も多発していました。これに対し、教職員による休憩時間の見回りを強化しましたが常に監視する事は不可能なので、多少の抑止効果はあったものの、校内での隠れ喫煙は数年間、日常的に発生していました。「見つからなければ、いいんだ」という意識の前では、見回りだけで効果がでないのは当然でした。そこで、それまであまり行われていなかった、外部講師を招いてタバコの害に関する講演会を開くことになり、2005年2月、全校生徒を対象に専門医の先生に講演して頂きました。これがキッカケとなり、今までの「タバコを吸えば謹慎だ」という罰を与える前に、タバコの害を教えてあげるべきであることに視点が移ったのでした。そのような経緯で、生徒たちの意識を変えるために、2005年4月から「週刊タバコの正体」と題するリーフレットの配布が開始されたわけです。タイトルどおり、タバコの有害性や依存性など、様々な方面からその真実を生徒たちに伝える内容を一枚のプリントにし、毎週必ず LHR(ロングホームルーム)の時間に全生徒に配布しました。年間40枚以上のプリントを目にした生徒たちの意識は少しずつ変化し、配布開始から2年目の2学期には、先に紹介した特定トイレでの喫煙がなくなり、校内の吸い殻は大幅に減りました。校内の喫煙は少なくなりましたが、まだ“Zero”になった訳ではありません。幸いにして喫煙を経験せず本校に入学すれば、その多くは今後も喫煙をせずに大人になる確率は高いと自負していますが、すでにニコチン依存症になっている生徒を禁煙に導くのは、大変難しいのが現実です。 WHO(世界保健機関)によると、現在タバコによる死亡者は全世界で毎年600万人以上、日本においても10万人以上が亡くなっています。この事実を真摯に受け止めると、「未成年者だからタバコを吸ってはダメ」ではなく、生徒たちにタバコの有害性をきちんと教え、生涯にわたって健康な人生を送れるように育てる事は学校の責務だと言えます。僭越ながら、そんな本校の姿勢に共感していただける方々がいらっしゃる事を信じ、若者の教育に「タバコの正体」をお役立て頂ければ、と願っています。

このような考えの下で2005年の4月から欠くことのなく”週間たばこの正体”は発行されています。最新刊2016.8.31~2016.12.21までの記事を紹介させていただきます。

http://www.wakayama-th.wakayama-c.ed.jp/tobacco_shotai/tobacco_shotai_vol_35.pdf

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2017年02月15日 08:31に投稿されたエントリーのページです。

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