2011年4月12日 (火曜日) 早朝に電話がありました。
朝早く電話が鳴り、何事かと飛び起きました。初めての方で、「昨晩から歯が痛くて一睡もしていないので見てほしい」というお電話でした。いらっしゃって見せてもらうと、とても痛そうな雰囲気でした。若いがっしりした体の男性でしたが、痛みでほとほと困っておられました。当該歯には大きなう蝕(虫歯)があり、仕事で忙しいのか、そのほかにも治療を中断し放置したため穴が開いている歯がいくつか見られました。
今回、この患者さんが痛みで参った歯は急性歯髄炎という症状でした。これは、 う蝕を放置したため、その穴から細菌が神経の穴(歯髄腔といいます)に入って、増殖しその中で炎症を起こしたために神経を圧迫して出た痛みです。手に傷ができると腫れます。これは炎症反応で血管から細菌をやっつけるためのリンパ球や抗体などが出てきて戦っているために起こる現象ですが、同じことが歯髄腔内で起こります。しかし、歯髄腔は4方を硬い組織でおおわれているため、圧力を逃がし腫れることができません。そのために大変耐えがたい痛みになります。治療をしている途中で患者さんが不思議そうな顔をして「何が起こったのですか?」と本当に信じられないという表情をしました。これは、治療により上から穴を開けたため、中の圧力が急に抜け、その結果強く圧迫していた神経に対する刺激がなくなったため、瞬時といっていいほど急に楽になったのです。
この患者さんは楽になりましたが、皆さんは歯が痛くならないように日ごろから気をつけて、歯が悪くないときから歯科医院で定期健診を受ける習慣を身に着けてください。
う蝕に関するもう少し詳しい解説をホームページの中に書いてあります。下のアドレスにアクセスしてみてください。