インプラントとは
インプラントとは、歯の無くなった場所の骨の中に歯根(歯の根っこ)に相 当 する柱を立てて、
その上に人工の歯を作って食べられるようにするものです。
写真提供:堺市、筒井歯科医院 、筒井隆史先生のご厚意による
インプラントの種類
事故などで前歯が 齲蝕や歯周病で臼歯
(奥歯)が
1本無くなったケース
無くなった場合
歯が1本もなくなった場合で、義歯(入れ歯)がうまく合わない場合でも安定させられます
写真提供:堺市、筒井歯科医院 、
筒井隆史先生のご厚意による
インプラントの必要性
・口腔の健康を守り、健康な生活を送るためには、今ある自分の歯を大切にすることが基本です。しかし、
事故やその他の原因で歯がなくなり、インプラントが必要になる場合があります。
・インプラントは現在とてもよく研究され、ずいぶんよくなってきています。初期に比べていろいろな基礎的学問も、臨床の知見も増えました。
とても快適に噛めるケースも増えています。
・しかし、『骨の中に異物を入れる』状態になります。これは大変なことなので、よく検討なさってからなさるようおすすめします。
インプラントをする前に
1.歯がなぜ無くなったのでしょうか?
2.あごの機能に問題はありませんか?
3.上下のあごの関係は正常ですか?
4.インプラントを植立する(入れる)場所に骨は十分ありますか?
5.血液性状を含む全身の状態は正常ですか?
6.後々ブラッシングを含む十分なメインテナンスができますか?
7.そのインプラントがだめになった時どうしますか?
1.歯がなぜ無くなったのでしょうか?
・事故で歯を無くしたのでしょうか? あるいは、齲蝕(虫歯)や歯周病(歯槽膿漏)で歯を無くしたのでしょうか?
・歯の無くなり方で、残された骨の状態が違います。これはインプラントをするときにとても大切なことです。また、
ご両親からいただいた天然の歯はとてもよい材質で、すばらしい作り方で作られています。その歯が無くなるのですから、
もし齲蝕や歯周病でなくなったのなら、口の環境が病気にかかりやすいと考えられます。その場合、安易にインプラントをすると、
天然の歯よりも不十分な状態で入るのですから、よほどブラッシングをはじめとするメインテナンスが十分にできなければなりません。
2.あごの機能に問題はありませんか?
・歯がなくなる原因の一つにあごの機能不全が関係する場合があります。そのような検査も十分してから、
インプラントをするかどうか決めるようにしましょう。
3.上下のあごの関係は正常ですか?
・上下のあごの位置関係も調べる必要があります。正常な関係でない場合、審美的にきれいにならなかったり、
機能的に満足できない場合があります。先にあごの関係をよく調べてもらってからインプラントをするかどうか考えるようにしましょう。
4.インプラントを植立する場所に骨は十分ありますか?
・あごの骨の密度、厚み、高さなど骨の状態を十分把握しておかないと、入れたインプラントが十分機能しないことがあります。
長く持たないことも考えられます。実際にインプラントをする前に検査で把握しておくことが必要です。
5.血液性状を含む全身の状態は正常ですか?
・貧血や血液の疾患、また、内臓関係に問題がある場合は手術に差し支える場合があります。前もって十分な検査をするようにしましょう。
6.後々ブラッシングを含む十分なメインテナンスができますか?
・ご両親からもらった、とてもよくできたご自分の歯でも悪くなるのですから、歯磨きやメインテナンスができなければ、
インプラントは機能しなかったり、長く持たないことがあります。また、
身体が不自由になったときに面倒を見てくれる歯科医師やヘルパーあるいはご家族が必要になります。
それら将来のことも頭に入れておかれるとよいと思います。
7.そのインプラントがだめになった時どうしますか?
・今、入れてもらったインプラントがだめになったとき、
その部分の骨はそのままインプラントをすることができない状態になると考えられます。
その時にどうするかについても十分検討しておいてください。骨を再生する手術をするのか、
あるいはその時にはブリッジや義歯などでするのかについても考えておかれるとよいと思います。
治療過程
手術を2回する方法
(この他手術を一回ですます方法もあります)
治療の前に「インプラントをする前に」で述べたように、まず歯科医師によく相談して、自分の全身状態、口腔状態、顎の状態、
かみ合わせ、齲蝕や歯周病の状態などよく診査してもらい、
-インプラントをするのに適しているかどうか。
-後々、維持管理がその歯科医師と共にできるかどうか。
-また、するとしたら骨の量や厚みを増やさないでできるか。
など、いろいろな問題について納得してから実施するようにしましょう。
開けた穴にインプラントを入れ固定して、歯肉を閉じます (骨の中の部分が完全に治癒するまで待ちます
(約1ヶ月)
歯の無くなったところの歯肉を開き、
インプラントのはいる穴を開けます。
(骨の量や密度が少ない場合は骨
を作る手術をする必要があり、手術
回数が1回増えます)
傷が治りインプラントと骨がしっかりくっついたら、歯肉を開き歯を取
り付けるための器具を取り付け、歯肉の上に出す2回目の手術をします
歯肉の傷が治ったら、
人工の歯を
歯ができたら、インプラントに
つけるための印象(型)をとります
しっかりと取り付け固定します。
(歯ができるまで仮の歯をいれます)
その後、磨き方や手入れの仕方を十分教わります
イラスト写真提供:堺市、筒井歯科医院 、
筒井隆史先生のご厚意による
おわりに
・インプラントはうまくいけばとても快適に噛めるようになり、十分若返ることができます。
現在の歯科医学の恩恵に浴することができると思います。
・一方で、インプラントは、歯根に本来、備わっている「歯根膜」がありません。ですから歯根膜がもつ、
衝撃を緩衝する組織や神経の終末がインプラントには、ないのです。その状態で毎日食事のときに自分の体重に近い力を何百回、
何千回とかけるのですから、慎重に検討してから実施してください。
・ご自分の歯はとてもよくできています。その歯を無くさないように、予防のための受診や、ご自分の手入れを十分にして、
もし歯を抜かなければならない場合は、「その歯は本当にだめなのかどうか」について十分説明を受けてください(ほっておくだけほっといて、
「何とか残してくれ」というのは問題外)。安易に「インプラントがあるからいいや!」というようなものではありません。
くれぐれもご自分の歯を大切にしてください。
今回の講義の写真と図については、堺市、筒井歯科医院、
筒井隆史先生のご厚意によりました。先生はニューヨーク大学・大学院でインプラントについて学ばれ、
帰国直後のまだ荷物も完全に開いていない時期に、写真提供を無理にお願いしたにもかかわらず、ご提供頂きました。感謝致しております。