虫歯の処置
それでは、実際の虫歯の様子を見てみましょう。
上顎第2大臼歯に2つの虫歯があります。ほぼ中央にある黒い部分が中央小窩といい、この部分は虫歯が発生しやすい場所です。
この虫歯はダイアグノデント(以後DD:前述、レーザーで虫歯の感染の度合いを調べる器械)
で調べると細菌が深く感染しているのが分かりました。
一方、左の黒い部分は、遠心小窩(ここもう蝕の発生しやすい場所です)。そこから下へ向けて遠心舌面溝と言い、
この部分をDDで検査するとエナメル質の表面だけの感染であることが分かりました。
最初の切削後
そのために、治療として、中央小窩は切削器具を使い細菌に感染した部分を削除しました。
切削した場所は穴が開いて見えます。
虫歯検知液
肉眼で感染が確認できるう窩の部分を削除したあと、虫歯検知液で細菌を染めてみます。
検知液で細菌を確認
肉眼 では細菌に感染した部分は削除できたと思ったところにも、薄くピンク色に細菌が染まるところが確認できました(緑色の円の中)。
その部分を、細菌に感染した部分だけを削れる(健康な部分は削れない)材料でできた切削バー(削るドリルの1種)や歯を削れるレーザー、
あるいはマイクロメーター(ミクロン)単位の細かい粒子を高圧で吹き付けて削るようにします。
これらの方法はいずれも痛くなく悪くなった部分を削除することができます。最近はこのように痛くなく、
感染した部分だけを切削できる道具が開発されてきているので、無痛の状態で、細菌に感染した部分を最小限取り除く治療法が確立されました。
これをMinimal Intervention(最小の侵襲)治療と言い、歯を必要以上に削らない治療方法に変わりつつあります。
完全な切削後
虫歯検知液でピンク色に染まった部分も取り除かれ、細菌に感染した部分がなくなりました。現在ではこの部分に、
口腔内で光を当てて固まる材料を用いて修復するようになってきました。
修復後
赤色の円で囲った部分が先ほど切削したう窩に相当する部分です。先ほどの穴が嘘のようにきれいに修復でき、
まるで最初から虫歯などなかったように修復できました。
現在では、早く治療すればこのように、痛くなく、1日で、きれいに修復することが可能になりました。
また、黄色の円で示した、遠心小窩と遠心舌面溝は削らないで、フッ化ジアミン銀という薬と、
治療用の半導体レーザーを使って細菌の活動を不活化することでエナメル質を保存することができました。
治療前後
治療前と治療後ではこのように違います。早く治療すると、このようにきれいに修復できます。
また、虫歯になったことに気がつかないで、しみたり、痛くなったりしてから治療に行くと、大きな侵襲になり、もっと大きく削ったり、
神経の穴まで細菌が行っているために、大きな治療になり、隣(右)に見られるように金属でかぶせなければならないようになります。
このためにも、定期的なチェックは必要で、欠かせないことです。